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【保存版】熱処理の基礎知識|焼入れ・焼もどし・焼なまし・焼ならしなど分かりやすく解説!

熱処理とは

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あきよし 名刺

この記事がおすすめな人

  • 熱処理という言葉は聞いたことがあるけど意味は曖昧な方
  • 焼入れ・焼もどしなどの違いを理解したい方
  • 加工現場で熱処理済みの素材に戸惑った経験がある方
  • 工具や条件の選定に悩んでいる若手オペレーター
  • 金属加工の基礎からしっかり学び直したい方
見習い君
見習い君

や…焼入れって何だ!?

熱処理のことが全然わかりません!

熱処理のことなら任せて!

あきよし
あきよし

「焼入れって聞くけど、実際なにをしてるの?」

金属の性質は、“熱処理”の有無とやり方で大きく変化します。

硬さや粘り、切削のしやすさまで、まるで別物に変わると言っても過言ではありません。

でも、用語も多く、焼入れ・焼もどし・焼なまし・焼ならし…と聞くだけで頭がこんがらがるという人も多いはず。

でも、もう大丈夫!

この記事では、代表的な熱処理の種類とその役割・違いを初めてに方でも分かるようにやさしく解説。

現場でよく聞く言葉の意味がつながることで、理解が深まり、今後の業務に活かせるようになります。

さぁ、熱処理の世界の知識を深めましょう!

あきよし
あきよし

熱処理とは?加熱と冷却による金属材料の性質変化技術

NC 基礎知識

熱処理ってこんな技術!

熱処理 基礎

熱処理…

聞くだけで汗が出そうな名前ですね!

熱処理とは加熱と冷却の巧みな調整によって、金属を硬くしたり柔らかくしたりする特殊加工技術です。

日本金属熱処理工業会では「赤めて冷ますこと」と記載。

これは、金属材料に加熱と冷却を加えて形を変えることなく性質を向上させる加工技術と説明されています。

変化させる性質

  • 強さ
  • 硬さ
  • 粘り
  • 耐衝撃性
  • 耐摩耗性
  • 耐腐食性
  • 耐食性
  • 被削性
  • 冷間加工性

こんなに性質を自在に操れるよ!

あきよし
あきよし

熱処理の歴史

熱処理の歴史はとても古く、古代にまでさかのぼります。

鉄や銅などの金属を使い始めた人々は、金属を加熱して冷却することで、より硬くしたり、加工しやすくしたりしていました。

この方法が、今日の熱処理の原型となっています。

見習い君
見習い君

そんな大昔から!?

中世において、鍛冶職人たちは、剣や鎧などの武具を製造するために、熱処理技術を洗練させました。

焼入れや焼きなましなどの基本的な技術がこの時代に確立されたとされています。

昔から日本刀作りなどで鍛冶職人が応用していたのもその一つです。

真っ赤に焼けた鉄をハンマーでガンガン叩くやつだね!

あきよし
あきよし

現代では、熱処理の技術はさらに進化。

炉のコンピュータ制御、新しい材料科学、環境への配慮など、今日の製造プロセスに不可欠な要素となっています。

このように熱処理の技術は、人類の歴史と共に発展。

今日の多岐にわたる産業への応用につながっています。

古代の簡単な方法から現代の高度な技術へと、進化を続ける熱処理の歴史は、私たちの生活と密接に結びついていると言えるでしょう!

熱処理の基本メカニズム

熱処理のメカニズム

一般的な鋼は約700℃まで加熱すると素材が赤づいて、結晶構造や性質の変化がスタート。

この性質の変化を「変態」と呼び、その変化が始まる温度を「変態温度」と呼びます。

見習い君
見習い君

へ… 変態の温度…

変態温度をオーバーすると、鋼は軟らかい"オーステナイト"と呼ばれる組織に変化。

その後に鋼が黒づく温度(約550℃)まで冷却すると、オーステナイトは硬い"マルテンサイト"という組織に変化します。

これで熱処理前より鋼が硬くなっているよ!

あきよし
あきよし

熱処理は大きく分けて全体熱処理と表面熱処理の2つがある!

全体熱処理と表面熱処理

熱処理は大きく分けて「全体熱処理」と「表面熱処理」の2つに分けることができます。

全体熱処理

全体熱処理の特徴

  • 強度や硬度を素材全体に与えられる
  • 均一な性能が得られる
  • 機械部品や工具などに多く使われる

全体熱処理とは、素材全体を加熱・冷却することで、芯まで性質を変える処理のこと。

代表的な処理には次のようなものがあります。

  • 焼入れ(硬くする)
  • 焼もどし(靱性を持たせる)
  • 焼なまし(やわらかくする)
  • 焼ならし(組織を整える)

表面熱処理

表面熱処理の特徴

  • 表面に硬さ、内部に粘りを持たせられる
  • 耐摩耗性を高めたい部品に有効
  • 歯車やシャフトなどによく使われる

金属の表面だけに熱処理を施し、外側だけを硬くする処理。

内部は柔らかいままなので、衝撃や曲げに対する耐性が残るのが特徴です。

  • 高周波焼入れ(表面だけ急冷)
  • 浸炭焼入れ(炭素を表面に浸透させて硬化)

製品の求める性質によって使い分けが必要です!

あきよし
あきよし

熱処理における抑えておくべき4つの基本パターンと記号

熱処理基本4パターン

焼入れ

焼入れ 記号

「焼入れ」とは、鋼を変態点(組織の構造が変化するポイント)以上の温度まで上昇させ、一定時間置いた後、急激に冷却すること。

鋼を硬くすることを目的に行われます。

鋼に含まれる炭素量が多いほど、焼入れによる硬化は大きくなります。

JISの加工記号では「HQ」と記載。

焼もどし

焼もどし 記号

焼入れによって鋼の組織はマルテンサイト化し、硬くなりますが、そのままでは脆く、割れなどが生じやすい状態。

「焼もどし」とは、焼入れ後に鋼を再加熱して、硬さを調整しながら、粘りや強靭性を高める作業です。

JISの加工記号では「HT」と記載。

焼なまし

工具や機械部品を製作するには、切削が容易な鋼が理想的です。

そのためには、鋼を軟らかくする処理が欠かせません。

それが「焼なまし(焼鈍:しょうどん)」と呼ばれる熱処理です。

実は焼なましには、鋼の組織を均一にする役割もあるよ。

あきよし
あきよし

処理が不完全だと、鋼材の組織や硬さが不均一となり、機械加工に適さなかったり、加工ムラが生じる一因となったりします。

また、加工の際に曲がりや反りが発生したり、焼入れした場合の硬さにもバラつきが生じたりすることも。

そのため、焼なましは鋼を軟らかくするだけでなく、鋼の組織を均一にするためにも重要な処理です。

JISの加工記号では「HA」と記載。

焼ならし

焼ならし 記号

焼ならしとは、鋼材を一定の温度まで加熱し、ゆっくりと冷却することで、鋼の組織を均一化、微細化する処理です。

これにより、鋼の強度や耐久性が向上し、加工性も大きく改善。

鉄鋼製部品の材料となる鋼材は、鋳造・鍛造・圧延という方法で作られます。

いずれの製造法でも、加工によって生じたひずみにより鋼の組織が不均一となっているため、強度をはじめとする機械的性質が十分ではありません。

そこで、鋼の組織を均一化、微細化する手法が「焼ならし(焼準:しょうじゅん)」です。

JISの加工記号では「HNR」と記載。

この4つ以外にも色んな熱処理があるよ!

簡単に紹介します!

あきよし
あきよし

その他の熱処理の種類と目的

金属の性質を変化させたり強化したりするためには、他にも様々な熱処理の技術が利用されます。

熱処理の種類

  • 真空熱処理
  • 雰囲気熱処理
  • 応力除去なまし
  • 浸炭
  • 窒化
  • ガス窒化
  • ガス軟窒化
  • 溶体化(固溶化)
  • 自然時効
  • 人工時効(析出硬化)
  • 過時効

真空処理

炉内を真空状態にして行う熱処理。

金属の光沢をもたせたままの仕上がりが得られるのが特徴。

雰囲気熱処理

炉内を大気、又はガス雰囲気にして行う熱処理。

応力除去なまし

加工ひずみや残留応力の除去をする。

浸炭

金属の表面層の炭素量を増加させることで靭性を保ちつつ耐摩耗性を上げる処理。

窒化

金属の表面層に窒素を拡散させることで耐摩耗性、耐疲労性、耐食性を上げる処理。

変形が少ないのが特徴。

ガス窒化

アンモニアガス中で加熱することで窒化する処理。

Cr、Mo、Alなどを含む合金に対応。

ガス軟窒化

窒素とともに炭素を同時に拡散させながら窒化する処理。

多くの鋼種に対応可能。

溶体化(固溶化)

高温に加熱後、急冷し、合金元素を過飽和状態にする熱処理。

自然時効

溶体化後、常温にて過飽和の元素を析出し、硬化する現象。

人工時効(析出硬化)

溶体化後に加熱し、過飽和の元素を析出させて効果させる熱処理。

過時効

硬さがピークを過ぎる状態まで行った人工時効処理。

目的となる製品の特性に応じて行われる。

このように、それぞれの方法がどのような目的で用いられるのか、どんな効果があるのかを理解することで、適切な技術の選定や、より効率的な製造が可能となります!

あきよし
あきよし

まとめ:熱処理は金属の性質を自在に操る化学技術!

熱処理とは、金属の組織を変化させるための加熱処理です。

熱処理を行うことで、金属の硬度、強度、耐久性、耐食性、加工性などを向上させることが可能。

熱処理には、焼入れ、焼戻し、焼なまし、焼ならしなど、さまざまな種類があります。

それぞれの処理は、目的や効果が異なります。

あきよし
あきよし

この記事では、熱処理初心者の方でもわかるように重要な部分を簡単に解説しました。

しかし、熱処理の世界はとても深く、とても面白い世界でもあります。

関連書籍などもたくさんあるので興味がある人は是非チェックしてみてください♪

あきよし
あきよし

最後に…

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